おう、お疲れ。俺だ。
「これ飲んだらプロテインいらないってマジっすか!?」
「筋トレなしでシェイプアップってマジっすか!?」
最近↑の様な質問を目を輝かせて俺に質問してくる人が多い。なんだなんだと思い話を聞いてみると、今日本でHMBを主成分としたサプリメントが流行っているようだ。
結論から言うと、HMBは魔法のサプリメントじゃない。飲めば勝手に筋肉がつくなんてことはあり得ないし、腹筋は割れないし、プロテインの代わりになる様な代物でもない。というか、HMBに限らず飲むだけで痩せるとか筋肉がつくとかそんな夢のようなサプリメントはないので覚えておいてくれ。
HMBサプリメントが日本の一般消費者市場に登場したのは最近のようだが、筋トレオタク達の間では数年前から認知されている。そして、HMBサプリメントの優先順位はそんなに高くない。プロテイン(利便性)、マルチビタミン、BCAA、フィッシュオイル、クレアチン、グルタミンときて余裕があればHMBも摂っとくか。って感じの立ち位置だ。
HMBサプリメントさえ飲めば筋肉がつき、腹筋が割れ、プロテインも飲む必要がないのであれば筋トレオタクが10万でも20万でも出して買うしプロテインというプロダクトカテゴリは潰れているだろう。何もしなくても筋肉がつくなら俺は100万ぐらいまでなら出すぞ(笑)ロジックで考えただけでもHMBサプリメントが魔法のサプリメントじゃないってわかるだろう?
「銀行口座教えてくれたら100万円振り込みますよ」と言われたら殆どの人が詐欺だと気付くんだけど、ダイエットとなると「運動しなくても痩せますよ」「飲むだけでマッチョになりますよ」を信じちゃう人が後を絶たないんだよな。同じぐらいメチャクチャなこと言ってるんだけどね。前者はお金を失うけど、後者も"健康と時間”というお金以上に大切な資産を失う可能性があるんだからもっと敏感にならないとダメだ。
下の2つのツイートを覚えておけば、ことダイエット業界においては知識なんてなくてもインチキ情報やインチキサプリメントを掴まされることは回避できるだろう。
ダイエット業界で絶対に信じてはいけない謳い文句 1.リバウンドしない(あり得ません) 2.運動不要(健康的に痩せるには断固必要) 3.幾ら食べてもOK(何もOKじゃない) 4.部分痩せ可能(ほぼ不可能) 5.楽に痩せられる(終わると楽に太る) 6.サプリを摂取するだけ(夢物語)
OOダイエットってのが次々と流行るけど、1日の摂取カロリーと三大栄養素比率(タンパク質/炭水化物/脂質の割合)に触れないダイエットはほぼ100%インチキなので鵜呑みにしないで下さい。多くのメディアは話題になれば勝ちって考えで、あなたの健康や身体の事なんて1mmも考えてないですよ。
さて、ここからはもうちょっと専門的な話をしていこう。今日はゲストに来てもらった。早稲田大学大学院スポーツ科学研究科博士後期課程に在学中の
T: 久保君、お疲れ。
K: お疲れ様です。
T: まずはHMBが何なのか簡単に説明してもらえますか?
K: はい、日本では「3-ヒドロキシイソ吉草酸」と呼ばれており、正式名称は「βHydroxy-βMethylButyrate」、その頭文字をとってHMBと呼ばれています。HMBはみなさんよくご存知の分岐酸アミノ酸(Branched Chain Amino Acid : BCAA)の一つであるロイシンが骨格筋や肝臓を介して産生されるものです。
T:「プロテインに取って代わる」や「運動なしでもシェイプアップ」の様な主張に関してはどう思われますか?
K: まず、HMBが注目を集めだしたのはここ数年の間で、国際スポーツ栄養学会(The International Sciety of Sports Nutrition : ISSN)も2013年にHMBに関する公式声明を発表しています。しかし、その中でISSNは「HMBを摂ればプロテイン(タンパク質)なんて摂らなくていい」ということは一言も述べておらず、「assist」という言葉を使って「あくまでも補助的なサプリメントである」ということを述べるにとどまっています。つまり、HMB単体”だけ”摂ればダイエットにつながる、筋量が増えるというのは明らかなミスリーディングだと思います。
T: HMBそのものよりも、宣伝の仕方、誇張広告に問題があると?
K: はい、先述した通り、HMBはISSNも注目も集めているサプリメントで、その公式声明で述べられているだけでも除脂肪体重の増加をはじめとした約9つの恩恵を得ることができるとされています。多くのアスリートも摂取していますしね。ただ、優先順位が高いかと問われると疑問符はつきます。決して私たちが「HMBはいけないものだ、ダメだ」と言っているわけではないということは再度念を押したいと思います。
T: ちなみに久保さんが優先順位が高いと思うサプリメントは何ですか?
K: まず大前提として、日本では厚生労働省が推奨する「食事バランスガイド」があり、米国でも「マイピラミッド」という形で必要栄養素が可視化されています。まずはこのように手軽に手に入るガイドラインに従って食事をとって、どうしても補いきれない栄養素は目的に応じてサプリメントを使って補足しましょう。タンパク質が補いきれないのならプロテイン、微量栄養素ならマルチビタミン類などです。アスリートならBCAA、瞬発系のアスリートであればクレアチンなんかいいのではないでしょうか。フィシュオイルなんかは一般の方も摂取したいサプリメントですね。
T: 最後にこの記事の読者の皆さんに一言お願いします。
K: サプリメントは、様々なしがらみ(商売的な)から消費者をミスリードする広告がたく作られています。これはネット社会を逆手に取った悪質な手法でもあり、許されるものではないのと同時に、私たち消費者の情報の取捨選択能力も重要になってきます。何が本当で何が嘘なのか、しっかりと見極めてサプリメントを選ぶようにしましょう。
久保くんのブログ
久しぶりにSGにて記事を更新しました。 「怪我をするからウエイトトレーニングをするな」、、、だと? https://t.co/RYPgqOwEkQ